2020年に人類が直面しているコロナの影響について、仕事や私生活の行動様式が根底から変わることを要求されているとは、2019年には思いもよりませんでした。
そんなコロナの影響でこれまでの価値観が通用しなくなっていて、将来に対して漠然とした不安をもっている方も多いのではないでしょうか?
ぼくも、実際にコロナの影響を真正面から受けて仕事のやりかたが180度かわってしまいましたから、今後の生活にめちゃくちゃ不安をもっていました。
ただ、自分の力ではどうしようもないため考えないようにしても、やはり頭にはコロナの影響がもたげてきます。
そんなときに、「ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力 (朝日選書)」という著書に出会う機会がありました。
現在の状況をすぐに解決することはできませんが、ひとまず耐えしのぐ考え方を身に着けることができれば、これまでとは違った行動をとることができるようになります。
今回は、ひょんなことから出会ったネガティブケイパビリティに関する著書を紹介します。
帚木逢生さんの著書「ネガティブケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力」はどんな内容?
- ネガティブ・ケイパビリティの歴史
- ネガティブ・ケイパビリティと結びつく行動(研究、教育など)
- ネガティブ・ケイパビリティが効果を発揮するとき(身の上相談など)
帚木逢生さんの経歴
著者の帚木逢生さんは、精神科医として福岡でメンタルクリニックを開業しながら、作家としても活躍されています。
東京大学では仏文科で学んでいて、大学卒業後はTBSに入社されます。しかし、2年後にTBSを退社して九州大学の医学部に再入学されているユニークなキャリアをお持ちです。
しかも、医師と並行して活動している作家では、1992年に『三たびの海峡』で第14回吉川英治文学新人賞を皮切りに、様々な賞を受賞されている凄い方なんです。
医者と作家を続けられるタイムマネジメントを教えてほしい
「ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力」 目次
「ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力 (朝日選書)」は、全部で10章あります。
正直最初の第一章が長くてまどろこっしいので、ぼくは途中で飛ばして第二章から読みました。(スイマセン、、、)
目次
はじめに ネガティブ・ケイパビリティとの出会い
第一章 キーツの「ネガティブ・ケイパビリティ」への旅
第二章 精神科医ビオンの再発見
第三章 分かりたがる脳
第四章 ネガティブ・ケイパビリティと医療
第五章 身の上相談とネガティブケイパビリティ
第六章 希望する脳と伝統治療師
第七章 創造行為とネガティブ・ケイパビリティ
第八章 シェイクスピアと紫式部
第九章 教育とネガティブ・ケイパビリティ
第十章 寛容とネガティブ・ケイパビリティ
おわりに 再び共感について
「ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力」 感想(書評)
「ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力 (朝日選書)」を読み終えて、一番印象に残っているのは、ぼくたちが受けてきた教育はポジティブ・」ケイパビリティだったことです。
ポジティブ・ケイパビリティの教育は、問題を解決することが重要だとされています。そして、日本の学校教育は到達目標が設定されているので、習得度によって落ちこぼれてくる学生がでてきます。
自分の理解に応じて勉強する速度を決めることができず、わからないまま、どんどん落ちこぼれていきます。最終的には、遅れを取り戻すことができずに義務教育をおえてしまいます。
この教育を日本全体で実施しているので、ぼくを含めてほとんどの人が無意識にポジティブ・ケイパビリティに縛られているのです。
だから、コロナのように価値観がガラッと変わってしまい答えがない事態に遭遇すると、一旦立ち止まって自分の頭で考えてみることができないのだと思います。
ネガティブ・ケイパビリティは、今すぐ解決できなくても、なんとか持ちこたえていく能力です。
この考え方を、義務教育で子供に教えることが、枠組みにはめられた思考から解放される第一歩の気がします。