「ちょっと最近、ランニング始めようと考えてるんですけど、どうしたらよいですか?」
こういった質問をしてくる初心者は、ランニングに必要なシューズやトレーニング方法のおすすめについて知りたいんだと思うのだが、個人的には「思い立ったら、とりあえず走っちゃえばいいのに」と思ってしまう。
ランニングに必要なシューズやトレーニングなんて走りはじめたら、あとからついてくるものなので、まずは簡単にできる「とりあえず、シューズのひもを結んで、走り出す」ことをやってしまえばいいと思っている。
でも、そう言っちゃうと話が終わってしまうので、ランニングを始めようと考えている初心者には、村上春樹さんの「走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)」を、是非、読んでみてほしいです。
「走ることについて語るときに僕の語ること」はどんな内容?
「走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)」は、小説家である村上春樹さんが、走るという行為について、走り始めたきっかけから想い、レースの出走記録などを書いた短編集です。
小説ではなく、村上春樹さんが「走る」ということに対して経験されてきたドキュメント作品的な側面もあります。
ランニングのトレーニングや食事方法に関する内容ではないので、トレーニングのヒントを得たい方には、あまり向いていないと思います。
「走る」というシンプルな行為について、村上春樹さんが考えていたり実際にレースや練習で感じたことを表情豊かに書いているので、初心者でも、「走る」という行為に自分なりの想像を膨らますことができるのではないでしょうか?
実際に、この本を読むと、走りたくなってくるので、村上春樹さんの凄さを実感する一冊でもあります。
実は、ぼくは村上春樹さんの著書は、これしか読んでないのです。
著者 村上春樹さん 経歴
作家として世界的に有名な村上春樹さんは、1979年に「風の歌を聴け」で群像新人文学賞を受賞して、作家デビューしています。
作家になるまえから喫茶店をジャズ経営していましたが、1978年4月1日に神宮球場でヤクルト対広島を見ているときに、小説を書こうと決めたエピソードがあります。
村上春樹さんの経歴についてはぼくが書かなくてもご存じの方も多いと思うので、このくらいにしておきます。
毎日ほぼ10㎞を走っている村上春樹さんですが、走ることが小説を書くとった創作を支えているという本人の考えは、走ることを生きがいにしているビジネスマンが多いことを思い出させてくれます。
「走ることについて語るときに僕の語ること」 目次
「走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)」は272ページで構成されています。
著書は全部で八章から成り立っており、それぞれの章は完結した内容なっています。そのため、タイトルから興味がある章を読んでいく読み方もおすすめです。
前書き 選択事項としての苦しみ
第一章 誰にミックジャガーを笑うことができるだろう?
第二章 人はどのようにして走る小説家になるのか
第三章 真夏のアテネで最初の42キロを走る
第四章 僕は小説を書く方法の多くを、道路を毎朝走ることから学んできた
第五章 もしそのころの僕が、長いポニーテールを持っていたとしても
第六章 もう誰もテーブルを叩かずもう誰もコップを投げなかった
第七章 死ぬまで18歳
第八章 少なくとも最後まで歩かなかった
後書き 世界中の路上で
ぼくは、第四章がとても気に入っていて、折にふれて読み返すことがあります。詳細はネタバレになるので書けませんが、走る行為と小説を書き続けることは、集中力をもって継続していく必要があるといった内容が、日々の仕事や生活にも関係していると感じたからです。
「走ることについて語るときに僕の語ること」 感想
「走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)」は、小説ではありませんが、村上春樹さんの思考が「走る」という原始的な行為を通じて描かれており、読者はそのリアルな感情に触れることができます。
とくに、ランナーがこの本を読むと、「あー、わかる!よくある!」と膝をポンと叩く場面があります。これは、読んでいて親近感がわくんですよね。
「走る」という行為はシンプルで、それでいて、ランナーに多くのモノをもたらしてくれます。ぼくの場合は、身体的な健康と、脳の成長(期待!)を走ることで手に入れています。
走るはじめることに迷っていたら、自分に対する理由は置いといて、まずは走り始めてしまえば良いのではないでしょうか?
理由は、あとからついてきますから。
日々走ることは僕にとっての生命線のようなもので、忙しいからといって手を抜いたり、やめたりするわけにはいかない。もし忙しいからというだけで走るのをやめたら、間違いなく一生走れなくなってしまう。